サツマイモの王様!安納芋が高級品と言われる理由は?
サツマイモはその自然な甘さが魅力で多くの人から愛される野菜ですが、そのサツマイモの中でもダントツの甘さで人気があるのが安納芋です。しかし安納芋は普通のサツマイモと比べると値段高く、高級品とされています。
安納芋は皮の薄い品種のため丁寧な扱いが必要
安納芋の値段が普通のサツマイモより高くなってしまう理由は主に2つあります。 まず1つには、安納芋が皮の薄いサツマイモであるということが関係しています。安納芋の皮は普通のサツマイモと比較すると非常に薄く、手荒に扱うとすぐに皮が剥がれて商品価値が下がってしまいます。その上、安納芋は他のサツマイモと比べると水分量が非常に多いために皮が剥がれた状態になると傷みが進みやすくなり、商品として販売できなくなってしまうのです。 そのため安納芋の生産者は収穫時や出荷時にも芋を丁寧に扱うことが必要になってきます。例えば、普通のサツマイモのように収穫した安納芋をかごに放り込むようなことをすれば途端に皮が剥がれてしまうため、注意しながらかご詰めしなければなりません。また、出荷時に安納芋に付いた土を落とす際にも細心の注意を払い、軍手や刷毛ブラシでキズを付けないようにすることも必要です。 つまり、安納芋の値段が高くなるのはこの芋の皮が繊細で薄いために手間が掛かり、人件費がかさんでしまうことにあるのです。しかし、安納芋の皮の薄さは皮ごと食べられるおいしさにもつながっているので仕方がないのかもしれませんね。
主要産地の種子島からの輸送費も価格が高くなる要因
そして安納芋の値段が高くなる2つ目の要因として、その主要な生産地が種子島であることが挙げられます。 もともと安納芋は種子島の安納地区で栽培が始められたサツマイモです。種子島周辺は気候が温暖で安納芋などのサツマイモの栽培には適しているのですが、収穫後に出荷するとなると島の外へ船で運び出すことが必要となります。そしてその場合、出荷には船への積み込み・積み下ろしの手間と費用、船を利用するための輸送料、そして港からのトラックでの輸送料と多くの費用が掛かり、これが安納芋の価格に反映されるのです。 また、種子島では気温の高い時期が長いので、寒さに弱いサツマイモ類を育てるのに向いており、特に成長が遅いとされる安納芋も十分な大きさまで育てることができます。そして、畑で長く育てることによって安納芋独自の強い甘さが生まれるのです。 しかし、この生育期間が長いことも生産者にとってはコストが掛かる要因となります。その間の草取りや水やりの手間を考えてもやはり普通のサツマイモ以上に手が掛かることになりますから、安納芋の値段が上がってしまうことは仕方がないことだと言えます。
手間を掛けてよりおいしくなる工夫をしている場合も
また、これはすべての安納芋に当てはまるわけではありませんが、一部の安納芋はおいしさの追求のため、収穫後によりおいしくなる工夫を施されている場合があります。 例えば安納芋を貯蔵庫で寝かし、熟成させるというのもその方法の1つです。もともと安納芋は普通のサツマイモと比較するとデンプンの量の多い芋なのですが、このデンプンの量の多さが安納芋の強い甘さのもとになるのです。安納芋のデンプンは12度から15度程度の温度を保てる貯蔵庫で1か月以上寝かし熟成させることで、アミラーゼと呼ばれる酵素の作用で糖に変換されます。するとデンプン量の多い安納芋はそれに比例して糖の量が多くなりますから、他のサツマイモより甘くなるのは当然のことなのです。 しかし、この貯蔵庫の熟成にもやはりコストが掛かります。貯蔵庫の温度を一定に保っておく電気代や人件費に加えて、繊細な安納芋は貯蔵中に傷んでしまうというリスク分も見込まなくてはなりません。 このように安納芋が高級品と言われる理由は安納芋の野菜としての特性に付随するものです。しかし、その特性によって安納芋はサツマイモの中でも甘みが強く多くの人に好まれているのです。