安納芋を蒸して食べる
安納芋は、サツマイモの中でも最も甘いと言われますが、その甘さを引き出すにはちょっとした注意点があります。 何も考えず無造作に蒸しただけでは、安納芋の良さは充分に引き出せず、大変にもったいないことになってしまいます。
安納芋の蒸し方
サツマイモ全般に言えることですが、時間を掛けて徐々に温度を上げて行くことで、甘さが増して行きます。 石焼き芋が甘く焼き上がるのも、徐々に温度を上げて行き、時間を掛けて焼き上げるからです。 サツマイモの中に含まれている酵素のβ-アミラーゼが、澱粉を糖分に分解するのですが、この酵素が最も効果的に働く温度が、摂氏70度なのです。 一般的なサツマイモでの実験では、摂氏70度の温度を1時間程度持続させた時、良い結果が出ています。 酵素は急激には作用しませんので、ある程度の時間が掛かるからです。1時間半ほど蒸せば理想的な甘さとなります。それ以上に時間を掛けると、芋が柔らかくなりすぎます。 安納芋の蒸し方も同じことで、急激に温度を上げて短時間で蒸し上げようとすると、本来の甘さが充分に引き出せません。 従って、時間を掛けて低温でゆっくり蒸すことになります。ただし、安納芋の特徴として、他の品種よりも遥かに甘いことがあり、また加熱するとネットリとした食感になることもあって、 普通のサツマイモよりも短時間で蒸し上げることにします。安納芋なら、蒸し時間が30分程度であっても、充分に甘くなるとも言われています。
安納芋を蒸して食べるレシピ
炊飯器を使った安納芋のふかし芋にチャレンジしましょう。炊飯器に洗った芋を入れ、煮るわけではなく蒸すことが目的なので、水を多過ぎないよう適量入れ、炊飯器のスイッチを押すだけです。 自動的に蒸し上がれば、残った湯を捨て、保温モードで甘さが増すよう30分程度、熟成させます。この間、アミラーゼが期待通りに働いてくれれば、かなり甘くなるはずです。 手抜き調理法ですので、期待通りにならないこともありますが、保温中に澱粉の糖化が多少でも進むことを祈ることにします。 次に、電子レンジを使った手抜きの調理方法です。安納芋の甘さを引き出すには、複数回に分けて低温加熱する方法が、それなりの効果を発揮します。 安納芋は、ネットリした仕上がりになりますので、そのことを見越して、水で濡れた新聞紙に包んで、電子レンジ加熱する方法も試したい方法です。 これは、水分を閉じ込めるラップではなく、水分が抜けながら蒸せるようにする工夫です。多くの人が試していて、効果があるとされています。焼き芋とふかし芋の中間的な味と食感に仕上がれば成功です。 アミラーゼの働きを効果的に引き出し、安納芋の特徴を生かせるようにできれば、手抜きの方法であっても成功となるわけです。
蒸した安納芋のアレンジあれこれ
安納芋の蒸しパンはいかがでしょうか。このレシピでは、安納芋を低温で時間を掛けて蒸し上げ、これを潰してペースト状にし、小麦粉に砂糖そしてドライイースト、これらと捏ね合わせてパン生地を作り、 一定時間寝かせて発酵させ膨らまし、それから蒸し器で蒸して蒸しパンにします。蒸し時間は40分程度です。普通とはひと味違った蒸しパンができます。 本格的なオーブンがあれば、焼いて作る安納芋入りのパンを試したいところですが、日本ではオーブンがそれほど普及していませんので、まずは蒸しパンで試してみましょう。 安納芋のホットケーキはどうでしょうか。このレシピも、先ほどとほぼ同様で、安納芋を蒸し上げてペースト状にし、ホットケーキミックスに牛乳そして卵、 さらにベーキングパウダーを芋の分だけ追加し、これらを混ぜ合わせてホットケーキ生地を作り、フライパンで焼くだけです。焼き上がれば、メープルシロップを掛けていただきます。 安納芋を入れることで、いつもの軽い感じではなく重量感のあるものになり、味だけでなく食感の違うものが味わえます。 ホットケーキはいつも同じパターンになりがちですが、何か一品を加えることで、それまでにない物になります。