焼き芋にした時の特徴は?紅あずま・鳴門金時・安納芋を比較!
焼き芋がおいしい季節になってきましたが、最近はサツマイモの種類も増えてきたので、どれを食べようか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。今回は紅あずま、鳴門金時、安納芋について味や食感の違いはもちろん、その他のお得な情報について紹介します。
焼き芋の元祖?紅あずま
サツマイモ生産量の30%を占める紅あずまは、1984年に鹿児島県で生まれた比較的新しい品種のサツマイモです。 茨城県や千葉県など主に関東で多く作られており、皮は少し紫がかった濃い赤色、果肉は黄色くすらっとした見た目をしています。繊維質が少なく、火を通すとホクホクと粉質で少しネットリする、ちょうど中間のバランスのいい食感をしたサツマイモです。 焼き芋にすると果肉の色がより黄色く映えるので、目からもその美味しさが伝わります。実際に甘味もあり、産地周辺の関東圏で最もメジャーな品種となります。 紅あずまの収穫は早ければ9月上旬頃から始まり、10月~11月中旬頃に最盛期となります。出始めはあまり甘味がないので料理向きで、2ヵ月ほど貯蔵・熟成するとデンプンが糖質に変わり、甘みが増してしっとり感も出るので焼き芋に向き、12月~2月頃が食べ頃になります。一方で貯蔵性はあまり良くないので、旬を過ぎればあまり出回らない傾向にあります。 この紅あずまは流通量も多く、全国の焼き芋屋さんが最も多く使用している、正に焼き芋の元祖であり、非常に馴染みのある品種なのです。
ホクホク感が絶品!鳴門金時
鳴門金時は徳島県の特産で、高系14号と言う関西で一般的な品種をもとに改良されたサツマイモです。 雨が少なく温暖な瀬戸内の気候と、海のミネラルを多く含む砂地が特徴の鳴門市を中心に、徳島市や板野郡などでも栽培されています。 「鳴門金時」及び「なると金時」という名称は、徳島県内の指定の地域で生産されたもののみが出荷・販売時に名乗ることが許されています。また、JA里浦の「里むすめ」や松茂町の「松茂美人」、川内町の「甘姫」などのブランドでも販売されています。 皮は全体的に鮮やかな紅色をしており、生の果肉はクリーム色をしていますが、これを加熱すると、黄色くホクホクとした粉質の食感と上品な甘さを味わえます。焼き芋にすると、どこか懐かしいほっこりとした優しい味に仕上がります。 鳴門金時の収穫時期は8月下旬頃~11月頃で、9、10月が最盛期となります。この時期には大量の鳴門金時が市場に出回り、比較的安価で入手することができます。最盛期でも十分な甘みを感じられますが、収穫から2~3ヵ月程度貯蔵して糖度が上がった11~2月頃の少しずれた時期が、しっとり感も増して最も食べ頃となります。
密芋の代表!安納芋
しっとり系の焼き芋の代表格である安納芋は、鹿児島県の種子島の特産で、太平洋戦争後にインドネシアのスマトラ島から、兵隊が帰国する際に持ち込まれたのが始まりとされています。9月頃~12月にかけて収穫され、収穫後2、3週間経った10月中旬~1月が食べ頃になります。 安納芋は水分が多く粘質性で、焼くことでとても甘く、クリーミーでネットリとした食感になることから、蜜芋とも呼ばれています。生の状態でも糖度は16度前後と非常に高く、時間をかけて火を通すことで40度前後にまで高まる甘さが特徴です。 焼き芋は栗きんとんやクリームのようにねっとりと甘いのですが、これを冷やすことでアイスクリームのような味わいを楽しむこともできます。 このようにとても甘いと言うことは、カロリーが高いかもと心配になるかもしれませんが、基本的には同量のご飯と同じくらいです。 他のサツマイモの持つ食物繊維やビタミンC、カリウムなども同様に多く含んでいるのに加え、オレンジ色の果肉には他の品種よりも多くのカロテンが含まれています。そのカロテン量は人参を超えるとも言われ、美味しさと健康を両立したお得なサツマイモと言えます。